ハナちゃんと過ごした日々④夢が叶った日のこと。

5月16日月曜日。

わたしたちを祝福してくれているように快晴。

 

いよいよハナちゃんが新居に来てくれる日でした。

 

わたしたち(友人ふたり、わたしと美里)は早朝から大忙しでした。

 

 

電気屋さんがエアコンを取り付けにきてくれる午前9時のその前にみんなでハナちゃんの新居に集合。

ハナちゃんに新居を見てもらうための「最後の仕上げ」にかかりました。

 

 

 

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車いすの移動が楽にできる導線を考え、ベッドやテーブル、キッチン回りの家具を移動。

特に長く過ごすであろうベッドは桜島が見える光が入る位置に変更しました。

すぐに帰ってきて生活できるように、ベッドカバーをつけました。

見やすい時計も置きました。明るい電気もつけました。トイレ回りもスッキリです。

電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、お皿、お箸、フォーク。。

 

何もかもが新しくて、いい匂いがして、ワクワクする空間になりました。

 

 

 

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気になるのはハナちゃんが本当に今日ここに来れるのかということだけでした。

 

ずっと体調がよくなかったので、ギリギリにならないとわからないという連絡を受けていたからです。

予定では夕方の4時に到着ということでした。

 

 

わたしたちは、いったん解散して、もう一度午後4時に集まろうということになりました。

 

 

そして、その時間になり、新居前に大きな介護車が到着しました。

 

 

ハナちゃんはお医者様一人と3名のスタッフ、合計4名の医療関係者に囲まれながら、ゆっくり寝台車のような大きな車いすに乗って、降ろされました。

 

ハナちゃんの愛犬のトイプードル「シンバ」くんを預かってくださっている方も、シンバくんんと一緒にそこに待っていました。

 

 

わたしはすぐに駆け寄り、「ハナちゃーん!」とハナちゃんの顔を覗き込みました。

 

「わ~レイコちゃん、Kちゃんたちも!シンバくんも!本当に来てくれたんだね、ありがとう~!」

 

ハナちゃんは満面の笑みです。わたしも同じでした。

 

 

それからすぐに、エレベーターに乗って、ハナちゃんの新居のある階に行きました。

ハナちゃんは、スタッフ全員に囲まれてエレベーターに乗りました。

 

 

 

ドアを開けると、ハナちゃんが夢に見ていただろう光景が飛び込んできました。

これまで、ずー-っとわたしたちに電話をしてお願いしてきた形がそこにありました。

 

 

みんなで食事ができる広いテーブル、4脚の椅子、黄色のカーテン、すぐに料理ができるような食器類、ハナちゃんのベッドと、息子さんのベッド。。。

カーテンを開けると、日がさんさんと差し込みました。

 

 

息子さんもこの日は学校をお休みして、お母さんが帰ってくるのを待っていました。

 

 

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ハナちゃんは「わ~~~っ!」と声をあげました。

思わず出た、そんな感じでした。

 

 

 

滞在時間が30分の約束だったので、それまで、わたしたちは談笑したり、息子さんも一緒に写真撮影をしたりしました。

 

 

 

わたしは「お茶をいれる時間はないだろうな」と思ってあらかじめ作って持って行ったお茶をポットから紙コップに注ぎ、そこにいるみんなで飲みました。

 

そして、「もしかしたら食べてもらえるかもしれない」とダメ元でもっていった、ハナちゃんの大好きな「あくまき」がバッグの中にありました。

 

「ハナちゃん、もしよかったら食べる?」というと、

「ええええ!嬉しい!食べる食べる!」と即答。

 

 

電話では「もう全く食欲がないの」と言っていたハナちゃんだったので、断られても当然と思っていたので、びっくりでした。

わたしは嬉しくてソワソワしながら、「おちょこ」に入れたあくまきを、お箸でさらに小さく切って、ハナちゃんの口に運んであげました。

「まだ食べる」「まだ食べる」と言って、用意したあくまきを全部食べてくれました。

 

 

一番驚いていたのは、病院の先生、スタッフの皆さんだったようです。

 

 

談笑中、「徳田さんもいらしてくださってありがとうございます。この方、ドラマーなんですよ」

と、手を差し伸べながらスタッフの皆さんに紹介するハナちゃん。

 

 

子のころわたしのことをレイコちゃん、夫氏のことを徳田さんと認識していたハナちゃん。

 

実際、夫氏はこの時おらず、薬の副作用のせいか、幻想を見ていたようでした。

 

 

そして、元気よくハナちゃんは歌いはじめました。

 

 

おいっらはドラマー♪

やっくざなドラマー♪

 

 

 

石原裕次郎さんの「嵐を呼ぶ男」を素晴らしい歌声(リズムと音程!)で歌いました。

声楽家のハナちゃんの歌声を聴いたのなんて、久しぶりすぎて、学生時代に一瞬でタイムスリップしました。

楽しくて、嬉しくて、みんなが笑顔でした。

 

 

「新居でに集まりお茶をのむ」という夢をみんなで叶えた瞬間でした。

この夢にまで見た時間は、本当の夢のように過ぎていきました。

 

 

「これだったら、すぐに帰ってこれますね」とハナちゃん。

「一人で生活するのは難しいですけど、かえって来れますよ」とスタッフさん。

 

希望と夢が膨らみました。

 

 

つづく。

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

LOVE &PEACE!

笑福!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

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