生きる

谷川俊太郎さんの詩に初めて出会ったのは確か小学高学年時の国語の教科書。

今も掲載されているのかどうかは知らないけれど。

「生きる」

大好きな詩です。

 

 

 

生きる
谷川俊太郎

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ

 

 

ことばの一つ一つ全て

一瞬でその景色に連れていってくれるのだけど

わたしが子供の頃、特に印象的で強烈に好きだった箇所は

 

それはミニスカート

それはプラネタリウム

 

読むたびに

 

ゆらゆら風に揺れるミニスカートと元気に走る足が浮かびますし

暗闇に光る星空とプラネタリウム独特の空気感を同時に思い出すことができます。

 

 

このように日々の何気ない一コマ一コマを切り取ってみると、全てが光り輝いていると感じます。

笑ったことはもちろん、涙を流したことさえも。

 

 

「生きる」はただ過ぎていくだけとも言えるし

その瞬間瞬間が宝石のように美しいとも言えます。

 

 

誰でもいつかは「生きる」にサヨナラする日が来ます。

だからその日のことを頭の片隅に置きつつ

 

「生きる」それは

すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

 

ということばを胸において生きていきたいと思います。

 

 

 

11月13日に92歳で逝去された谷川俊太郎さんの最後の詩。

「感謝」

胸がジンとあたたかくなりました。

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

「感謝」

 

目が覚める   

庭の紅葉が見える   

昨日を思い出す   

まだ生きてるんだ

 

今日は昨日のつづき

だけでいいと思う

何かをする気はない

 

どこも痛くない

痒(かゆ)くもないのに感謝

いったい誰に?

 

神に?

世界に?宇宙に?

分からないが

感謝の念だけはなこる

 

 

 

 

 

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